藤田医科大学寄附講座
藤田医科大学寄附講座
ENDOWED COURSES AT FUJITA HEALTH UNIVERSITY
豊田市における地域包括ケアシステムの発展に寄与する目的で
藤田医科大学の2つの寄附講座が設置されています。
地域医療学(藤田医科大学
総合診療科プログラム)
地域医療学講座は、豊田市の在宅医療システムを推進する総合診療医の育成を目的としている、2012年4月に設立された講座です。
藤田総診 Webサイトロボット技術活用
地域リハビリ医学寄附講座
ロボット技術活用地域リハビリ医学寄附講座は、ロボット技術を用いたリハビリテーションにより豊田市における健康寿命の延伸を目的としている、2018年4月に設置された講座です。
ロボット技術活用
地域リハビリテーションのめざすもの
地域リハビリテーションの役割は、医療としてのリハビリテーションだけでなく、介護保険や福祉制度を利用したリハビリテーションサービスが地域の中で重層的に利用できるようにシステムとして展開されるものととらえることができます。
健康増進をはかる予防的リハビリテーションや障害を持っていても社会参加がしやすくなるユニバーサルデザインを活用したバリアフリー環境の整備などの街づくりを含めたものであり、地域包括ケアシステムの根幹をなすものと考えられます。
この地域リハビリテーションをロボット技術の活用をすすめながら豊田市で展開していくために設置されたのが本寄附講座になります。
2018年8月から豊田地域医療センターに寄附講座教授として太田喜久夫が着任しました。産官学と連携し、ロボットやIT技術を豊田地域医療センターにおいて実証研究を開始し、その成果を豊田市と連携しながら地域リハビリテーションの発展を促進するために展開していく予定です。
豊田地域医療センターでの
リハビリテーション医療の展開
-
1
ロボット技術を活用した
シームレスリハビリテーション- 急性期病院から歩行などの機能回復、ADL能力の向上を目的として回復期病棟へ入院された患者に対して入院リハビリテーションを提供し、退院後の介護保険でのリハビリテーションや外来での医療リハビリテーションまでシームレスに対応し、退院後も地域社会で活き活きと生活できるように急性期・回復期・生活期の連携を強化しています。
- 重度の片麻痺患者を対象として、回復期リハビリテーション病棟で練習支援型ロボット;Welwalk WW-1000を用いた歩行練習を2018年10月から開始しています。
- 慢性期片麻痺外来患者を対象として、WalkAideによる機能的電気刺激療法を用いたトレッドミル歩行練習を2019年1月から開始。トレッドミルにはWelwalkWW-1000の視覚フィードバック機能を利用し、歩容の改善と歩行能力の向上を図っています。
- バランス練習アシスト;BEAR(Balance Exercise Assistant Robot)を用いてバランス能力の学習評価を実施し、それにもとづいたバランス能力強化プログラムを開発しています。
BEARには、3種類のゲームがあり、それぞれ40段階の難易度があります。それらのゲームは、前後方向と側方方向への重心コントロールについてフィードフォワード機構を用いて学習できるものと外乱刺激に対する重心コントロールについてフィードバック機構を強化できるゲームの3種類からなり、それらの学習到達曲線からどのバランス機能を特に強化すればよいかを評価することができます。
2019年4月から歩行可能な患者で、入院リハビリテーションおよび外来リハビリテーションを実施している患者に対してバランス評価・訓練プログラムを開始しています。 - 上肢機能練習アシストロボット;ReoGo-J 脳卒中片麻痺患者の上肢機能を回復させるための練習支援ロボットです。アーム上に麻痺手をおいてモニターをみながら練習することで改善経過を確認しながら練習できます。
-
2
最新の科学的評価にもとづいた
専門的リハビリテーションの開始- 嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査に基づいた摂食嚥下リハビリテーションを実施しています。また、嚥下障害のタイプにもとづいて、嚥下機能を強化する間接訓練、嚥下調整食を用いた直接訓練のほか、上喉頭神経を刺激する電気治療機器;ジェントルスティムを用いた嚥下訓練や重度の球麻痺患者に対するバルーン拡張訓練も実施しています。
- 最新の装具・歩行補助具を用いた訓練:ロボット技術を活用した歩行機能の強化を地域での応用歩行に結び付けるために、SPSやRAPS等の最新下肢装具を利用した歩行練習を実施しています。懸垂型歩行器や懸垂装置を付加したトレッドミルとしてWelwalk WW-1000も利用しています。
- 上下肢の痙直に対するボツリヌス治療:ボツリヌス毒素の筋肉内注射をエコーや電気刺激針を用いて的確に実施し、その後のストレッチなどの訓練を併用して機能回復に結びつけています。
- 外傷性脳損傷による高次脳機能障害に対して診断および包括的認知リハビリテーションを実施しています。また、就労・就学に向けた社会支援制度の活用法を紹介し、本人および家族の社会参加を促進しています。
-
3
総合診療科との連携
- 2019年から総合診療科と連携し、豊田地域医療センターでの総合診療専攻医プログラムのうちのリハビリテーション医学を受け持ち、総合診療医として必要な基本的リハビリテーション手技やリハビリテーションプログラムの立案法が学習できるようになっています。
2019年度は2名の専攻医が当科で研修を2~3か月間受けることになっており、将来的にリハビリテーションの研修を受けた総合臨床医が増加し、地域リハビリテーションの発展に寄与できると思われます。
- 2019年から総合診療科と連携し、豊田地域医療センターでの総合診療専攻医プログラムのうちのリハビリテーション医学を受け持ち、総合診療医として必要な基本的リハビリテーション手技やリハビリテーションプログラムの立案法が学習できるようになっています。
ロボット技術を活用した
地域リハビリテーションの展開予定
2020年12月に新病院がオープンし、その後も検診センターや地域医療を担うための在宅支援機能が強化された施設が改修されていく予定です。
ロボット技術活用地域リハビリテーション医学講座も、医療から介護・福祉にわたるシームレスな地域リハビリテーションの発展を支援すべく、ロボット技術やIOTを活用したリハビリテーションサービスを展開していく予定です。
新診療棟のリハビリテーション室にはWelwalk WW-1000やBEAR、ReoGo-Jが配置され、回復期病棟やリハビリテーション室の練習空間には身体活動性を評価するIoTシステムや自主訓練が可能なトレーニング用具・安全懸架システムが配備され、病棟生活を含めた生活全般の活発化をすすめています。
さらにリハセンターから屋上庭園に出られるようになっており、地域住民との交流も進める環境を用意しています。また、地域住民の健康診断を継続して健康増進活動を強化し、介護が必要な人やその家族たちに最新の介護ロボットやロボティックスマートホームを体験できるような、地域のコミュニティーホスピタルとしての機能もあわせもつ地域交流型病院に生まれ変わるように準備を進めています。
地域リハイノべーションセンター開設
2021年11月に地域リハイノベーションセンターを開設いたします。体の不自由な方に使って頂きたい先進的な製品の展示・体験ができるロボティックスマートルームや「全ての人に移動の自由を」をモットーに掲げ、新しい移動手段の提案・体験が行えるモビリティトライアルルームを準備しています。
また、健康寿命の延伸を図るため、サルコペニア、フレイル、ロコモティブシンドロームの診断が気軽に行える健診コーナー(サフロ健診コーナー)も合わせて準備しています。現在、サルコペニアやフレイルなど、運動機能などに不安を抱えてみえる方には、2021年6月から、サフロ精密検査(リハビリテーション科)を開始しましたので受診ください。